関連団体からのお知らせ
2004年07月26日
【三菱電機株式会社】東京大学病院、弘前大学病院における放射線治療装置の事故について(ご報告)
2004年6月18日に東京大学医学部附属病院殿で発生しました弊社製放射線治療装置の高電圧ユニット部の発煙事故と、2004年6月22日に弘前大学医学部附属病院殿で発生しました異臭につきまして原因、対策、水平展開処置等をご報告申し上げます。これらの不具合は同一時期に発生していますが、機種、不具合発生場所が異なっており、関連性はありません。
1.高電圧ユニット部の発煙事故(東京大学医学部附属病院殿)
(1)原因
放射線治療装置には大電力の高圧電源を必要とします。商用電源を昇圧し整流して作成しますが、その整流部で事故が発生しました。
高圧整流ダイオード部のダイオードにオープン故障が発生し、オープン故障の破断部に高電圧印加によるアーク放電が生じこのアーク放電による高熱により高圧整流ダイオード部の基板が焼損し、周辺の絶縁物が次々に焼損したため発煙事故に至りました。
(2)対策
直接的な対策は下記(1)項です。更に安全性を高めるため(2)、(3)項の処置も実施します。
- 高圧整流ダイオード部を、難燃性の高いモールドタイプの高圧整流ダイオードに交換します。
- 高圧ディスチャージ抵抗部の発熱量を低減すると共に基板をより難燃性の高いものに変更します。
- 高圧ケーブルの配線ルートを見直し絶縁のための空間距離を大きくします。
(3)水平展開処置
同等の回路を有する他機種に対しても同様の対策を実施します。
2.直流安定化電源異臭発生(弘前大学医学部附属病院殿)
(1)原因
放射線治療装置には各種の電源が実装されています。その電源の一つで不具合が発生しました。
問題の電源は内部に複数の直流安定化電源を持っており、その一つ、DM電源(偏向マグネット用電源)において、配線用コネクタ部分が焼損し、その結果異臭が発生しました。配線用コネクタ部分が焼損した理由は、必要な電流容量に対しコネクタの電流容量が少なかった為です。印刷配線板、電線とも難燃性の高い材料が使用されていますので、火災の危険性は無いと判断しています。
(2)対策
- 問題の配線用コネクタの電流容量をアップします(コネクタ(タブ端子)をネジ止め端子に変更します)。
- 直流安定化電源内のコネクタを全て見直し、同様な問題が発生しないよう変更を行います。
(3)水平展開処置
同一電源を使用している他機種に対しても、対策品の電源に交換する処置を実施します。
3.放射線の過剰照射事故への懸念
両事故ともビームデータ測定中の事故ですが、放射線はインターロックにより停止しています。治療中の事故であったと仮定しても、各種のインターロックが装備されていますので、異常発生時には放射線の照射を停止します。放射線の過剰照射事故への懸念はありません。
4.本件に関するお問合せは以下にお願いします。
三菱電機株式会社 通信機製作所
通信情報コンポーネント製造部 ライナックグループ
グループマネージャ 玉祖 春夫(タマソ ハルオ)
TEL:06-6495-6292 FAX:06-6495-5613
以上