公益社団法人 日本医学放射線学会

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2020年02月21日

コロナウィルス感染症(Coronavirus disease 2019)に関する画像情報(No2)

2月17日(月)に開催されました新型コロナウィルス感染症対策専門家会議では、患者の受診時期について以下のような提言がなされました。

  1. 発熱37.5度以上が4日続いた場合、
  2. 高齢者、糖尿病、心不全など持病がある人では、発熱37.5度以上が2日続いた場合、
  3. 強いだるさ、息苦しさがある場合にはすぐに、

全国各地の保健所に設置されている帰国者・接触者相談センターに相談する。

新型コロナウィルス感染症の症状は、発熱や咳など通常の風邪やインフルエンザと見分けがつきにくいこと、潜伏期間は5、6日程度と言われ、熱や咳の症状を有する患者のうち約8割は快方に向かうが、2割は肺炎に進行する可能性があるとされています。

今後、該当する患者さんは、上記の①から③の時期、すなわち発症後4日前後までには病院を受診されることになります。今回は、中国でのコロナウィルス感染症について発症からの時期と画像所見の変化を示した報告がRadiologyに掲載されていますので、ご紹介いたします。

本論文では、コロナウィルス感染者21名を対象として発症からの期間を4つに分け、4日ごとにCTを撮影し、画像所見の変化について検討しています。

  1. 早期(発症後0~4日)では、 GGO(ground-glass opacity:すりガラス影)が主な所見で、肺下葉の胸膜下にみられる傾向にある。また、4例では、この時期に異常所見は見られず、5日目以降に出現した。
  2. 進行期(発症後5~8日)では、感染は一気に両側肺野、多葉性に拡がり、GGO、crazy-paving pattern(すりガラス影内部に網状影を伴う所見)、consolidation(浸潤影)を呈する。
  3. ピーク期(発症後9~13日)では、ゆっくりと病態はピークへ向かい、dense consolidationが主体を占める。
  4. 吸収期(発症後14日以降)では、consolidationは次第に吸収されてGGOに変化するが、crazy-paving patternはみられなかった、としています。

(文献:Feng Pan et al. Time Course of Lung Changes On Chest CT During Recovery From 2019
Novel Coronavirus (COVID-19) Pneumonia. Radiology. Feb 13. 2020.
https://doi.org/10.1148/radiol.2020200370)

今回の論文は、症例数も少なく、また中国で流行しているコロナウィルス感染症での画像所見の変化を検討したものであり、日本での症例と経過や画像所見等が異なる可能性もありますので、あくまでも参考としてご理解ください。

画像診断は肺炎の有無を診断することはできますが、新型コロナウィルス感染症であるかの診断は、あくまでもポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)法による陽性か、陰性かで診断されなければなりませんので、全国各地の保健所に設置されている帰国者・接触者相談センターおよび医療機関内の検査科をはじめとする関連部署との連携が重要です。

以上