公益社団法人 日本医学放射線学会

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2015年02月04日

理事長より年頭所感

年頭所感

日本医学放射線学会 理事長
本田 浩
(九州大学臨床放射線科学分野 教授)

明けましておめでとうございます。
新しい年、2015年が始まりました。全国の放射線科医の皆様が、それぞれに新たな抱負と希望をもって新年を迎えられたことと思います。
今 年の干支は「乙未」です。「乙」(きのと)は草木の芽が曲がりくねっている象形で、曲がりながらも上へ向かって成長することを意味するそうです。また 「羊」という漢字は、ヒツジを正面から見た時の、その角と上半身の象形で、角から後足まで全体の象形が「美」です。古代では羊は神聖な儀式、裁判に使われ ており、「いのる」、「善い」の意味を持ち、縁起の良い、すばらしい漢字です。神(示)に羊で「祥」、羊と羽で「翔」で、それぞれ「きざし・善い知ら せ」、「広がっていく」の意味をもちます。一方、「未」は木が春を迎えて、これから葉をつけていく様子を表した象形で、ヒツジと読ませる理由は、無学の庶 民に十二支を憶えさせるために充てたと言われています。
 私にとって羊の思い出は、半世紀以上前に遡ります。ニュージーランドへ旅行した父親が、 お土産にとムートンラグ(シープスキンの敷物)を買い求め、現地から送ったと言うので心待ちにしていました。しかしながらなかなか届きません。しびれを切 らした父は、旅行社に確認を要請しました。その2週間後、買い求めたムートンが到着。かなり大きな荷物だと思ったら、なんと6枚も買っていました。それで も私は、始めて感じるフワフワの羊毛にうっとりとしていたのですが、その2週間後、なんとさらに6枚到着してしまいました。クレームを受けて業者が再送付 したのでしょうが、さすがに12枚のムートンが家中あちこちにあるのは、若干不気味です。息苦しくなります。それ以来、羊を見ても皆様ほどは可愛いと思わ なくなってしまいました。
 私の思いではともかく、1千兆円を超える債務、今ひとつ伸び悩む経済成長、労働人口の減少等に加え、高齢化の進展に伴 う社会保障費の増加が国家財政上の大きな課題となっています。その様な中、放射線診療は年を追うごとに重要となり、放射線診療抜きには医療そのものが成り 立たなくなっています。多少の困難もあるのでしょうが、皆様と力を合わせて、高度な医療水準を支える大きな柱としての放射線診療をさらに活性化し、美しい 未来へ飛翔する年にしたいと思っています。皆様のご協力をお願いいたします。
 新年が皆様にとりまして、希望に満ちた明るい年となりますことを、祈念しております。