公益社団法人 日本医学放射線学会

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ガイドライン

2006年04月02日

デジタル画像取り扱いガイドラインv.2.0 (2006年4月)

ガイドライン1.0版 平成11年4月
ガイドライン1.1版 平成14年6月
ガイドライン2.0版 平成18年4月

デジタル画像の取り扱いに関するガイドライン2.0版
(ガイドラインのPDF
(テスト画像のPDF

平成18年4月
日本医学放射線学会電子情報委員会

  画像情報をより効率的に活用するためには、画像をデジタル化し電子的に保存するとともに、CRTモニタを用いて観察し診断することが近い将来に必須なこ とと考えられる。本委員会では、その環境を整備するためのデジタル画像の取り扱いに関するガイドラインを作成することを緊急の課題と認識し検討を行ってき たが、この度まとまったので以下に公表する。なお、本ガイドラインは、将来必要に応じて適宜改訂されるものである。
 この2.0版は平成14年6月に定めたガイドライン1.1版に「液晶モニタの性能」「デジタル乳房X線撮影のモニタ観察」を追加したものである。

1. 本ガイドライン運用における前提条件
 デジタル画像を取り扱う医師または歯科医師は、以下の項目について十分な知識をもち、適切に対処できなければならない。
(1)空間分解能および濃度分解能等の値が、画像診断の精度に影響を与えることを理解して取り扱うこと。
(2)電子的に保存された画像(以下「電子画像」)を用いて診断する場合、画像診断の責任はフィルムによる診断と同等であること。
(3) 電子画像に、圧縮・伸張して原画像に戻らない圧縮法(以下非可逆圧縮という)を適用する場合は、その方法と圧縮率などの情報が正確に記録できるこ と。また、その電子画像が可視化されたとき、サンプリングピッチ、濃度範囲、階調度のビット数などの情報が明示できる装置を使用すること。
(4)電子画像を取り扱う装置に他の装置を接続する場合、これらの装置で構成されるシステム全体の性能を損なわないこと。
(5)装置およびシステム全体の性能を定期的に確認し、その記録を保管すること。
 *画像情報の管理、安全確保等の事項については付録1の「X線フィルムの電子保存に関する通則」を参照。

2. モニタ診断
2.1 CRTモニタ
2.1.1 CRTモニタの性能
(1)CT、MRI画像の診断において、CRTモニタはフィルムに代替可能である。
(2)X線画像診断において、CRTモニタはフィルムに代替可能である。
(3)カラーCRTはモノクロCRTに代替可能である。
(4)CRTモニタの表示マトリックスは、1,000 X 1,000 以上が望ましい(乳房X線撮影を除く)。
(5)入力画像の画質に配慮してCRT診断を行うこと。特に乳房X線画像などのように高分解能を要するものについては留意して読影する必要がある。

2.2 液晶モニタ
2.2.1 液晶モニタの性能

(1)画像診断において、液晶モニタはCRTモニタに代替可能である。
(注) 確認した液晶モニタは、日本画像医療システム工業会の医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン(JESRA X-0093-2005)でいう 管理グレード1を満たす液晶モニタである。
(2)液晶モニタの表示マトリックスは、1,000 X 1,000 以上が望ましい。
(3)入力画像の画質に配慮して液晶モニタ診断を行うこと。特に乳房X線画像などのように高分解能を要するものについては留意して読影する必要がある。

2.2.2 乳房X線画像診断用モニタ
デジタル乳房X線画像診断において液晶モニタはデジタルハードコピーに代替可能である。
(注)確認した液晶モニタは前述の管理グレード1を満たす5M(2048x2560)であり、適切な画像処理(拡大・階調処理など)操作を加えた場合であ る。

2.3 モニタの劣化
(1)不適切な観察環境は診断能に影響を及ぼすので、モニタの輝度と関連して部屋の照度、採光などに留意すること。
(2)モニタは経年変化で劣化し、特に輝度が低下するので、正確な読影診断ができるよう留意すること。
 単純写真を例にとると、コントラストの低い信号の検出に影響が認められた。(注1)
(3)モニタの輝度劣化の程度を、毎日チェックすることが望ましい。(注2)
(4)経年変化のチェックは、日本画像医療システム工業会の医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドラインを参照して行うことが望ましい。
(注1)例えば、[文献3]で用いたモニタでは、設置時のモニタの最高輝度が500cd/m2の場合、その最高輝度が67%以下に低下すると胸部写真とし て使用する上で臨床的に読影結果の精度に影響を与えた。
(注2)モニタ劣化を視覚的に認識するには、劣化判定用に作成されたテスト画像(胸部写真とコントラストチャート)の類を使用するのがよい。
●ここにテスト画像の具体例を示す。
#1 JPEG画像(参考画像なので実際の評価には使えません)
#2 DICOM viewer で実際の評価に使用できます

3. フィルムデジタイズ装置
 フィルムデジタイズ装置を電子保存に用いる場合には、次の特性を有すること
 (但し、マンモグラフィは除く)。
(1)サンプリングピッチ:200μm以下
(2)空間分解能:CTF(0.25)≧0.9、CTF(0.5)≧0.8、CTF(1.0)≧0.7
      ここでCTF(n)は、nlp/mmのContrast Transfer Functionを示す。
(3)濃度階調数:1024以上(10ビットグレイスケール以上)
(4)デジタイズ濃度範囲:0.0D-3.0D以上
*性能テスト(空間分解能、濃度出力特性、幾何学的歪など)については、附録2の「フィルムデジタイズ装置に関する規格」を参照。

4. 圧縮率
(1)読影医師は、非可逆圧縮について十分理解し、画像の劣化により診断が影響されないように留意すること。
(2)医用画像を圧縮する際に画質について十分な配慮を行っている場合にはJPEG非可逆圧縮または他の方法でそれに相当する圧縮率で1/10までは非圧 縮画像と臨床上同等と考えられる。

5. 遠隔放射線診療(テレラジオロジー)
 上記のフィルムデジタイザ、CRT、圧縮率に準ずる環境において実用可能である。但し、緊急時などの医療行為では、画像伝送上の状況に応じて画質の変更 もあり得るが、この場合でも医師または歯科医師は画質の劣化を認識した上で医療行為を行う。

6.カラーユニバーサルデザイン
医療情報システム全般にとって、色弱者の人たちにとっても正しく判断できる『色覚バリアフリー』の重要性を考慮する必要がある。色弱者が、医療従事者や患 者として、システムに関わる可能性があるからである。そのため、以下のような点に考慮した表示系を構築すべきである。
(1)色のみに頼った情報伝達をしない。例えば、白黒でコピーしても内容が正しく伝わるように工夫する。
(2)色の差で情報伝達をする場合は、それが正しく伝わるか、複数の色覚タイプでチェックする。

参考文献
(1)厚生科学研究情報化技術開発研究事業-画像情報の電子化に関する研究-
主任研究者 小塚隆弘(大阪府立羽曳野病院長)平成10年3月
(2)厚生科学研究情報化技術開発研究事業-医療情報の総合的推進に関する研究-
主任研究者 開原成允(国立大蔵病院長)
「放射線画像連携に関する研究」
分担研究者 前田知穂(京都府立医科大学 放射線医学教授)平成10年3月
【附録1】X 線フィルムの電子保存に関する通則
【附録2】フィ ルムデジタイズ装置に関する規格
(3)厚生科学研究費補助金医療技術評価総合研究 画像観察CRTモニタの医学的安全基準設定に関する研究 主任研究者 石垣武男(名古屋大学教授)平成13年3月
(4)厚生労働科学研究医療技術評価総合研究事業「標準的電子カルテにおける画像観察液晶モニタ、汎用液晶モニタの標準化と精度管理に関する研究」 主任 研究者 石垣武男(名古屋大学教授)平成18年3月
(5)医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン(JESRA X-0093- 2005) 日本画像医療システム工業会 2005年8月
(6)JIS X 8341-3   高齢者・障害者等配慮設計指針
ー情報通信における機器、ソフトウェアおよびサービスー。第3部:ウェブコンテンツ