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Quantitative Imaging Biomarker

Diffusion MRI (Diffusion Tensor Imaging)

— DTIで得られる定量値の標準化


初期検討用DTIファントム

 拡散MRI(DWI)は、現在ではもはや臨床MRI測定の定番となっており、数多くの検査にもちいられている。一方、拡散テンソルMRI(DTI)は、主に脳神経繊維束の推定や描出(トラクトグラフィ)、拡散係数から導かれる拡散指標(fractional anisotropy: FA、mean diffusivityなど)の算出、脳領域の接続性(connectivity)の推定など、主に研究手法としての役割が大きいが幅広く用いられている。

 しかしながら、得られる拡散指標などは装置間での違いが指摘されており、多施設共同研究などにより多量のデータも元にした解析結果を得ることは現在においても相当に難しいと考えられている。

 DWIにおいては、標準ファントムが作成され、QIBA内においても標準化のための議論が行われている。一方、DTIについては、QIBA内ではファントムが提案された段階であり、未だに検討に至っていない。また、DTIファントムは、高価なものや手作りで性能が一定しにくいものが多く1)-7)、定番と呼ばれるものは存在していない。

 そこで、我々は初期検討用DTIファントムとして、主に圧迫止血に用いられている圧縮綿を使用した検討を試みた8), 9)。この圧縮綿は、繊維が一方向に揃えられているため、水分子の拡散異方性を示す。

 3施設12スキャナにおいて、ラウンドロビンテストを行った結果、見かけの拡散係数(ADC)、FAの変動係数はそれぞれ6.9および27.1であり、拡散異方性はそれぞれのMR装置間で異なることが分かった。

 今後は、よりロバストなDTIファントムを作成するために議論と検討を行う予定である。

参考文献
  1. Yanasak and Allison, Use of capillaries in the construction of an MRI phantom for the assessment of diffusion tensor imaging: demonstration of performance, Magnetic Resonance Imaging 24 (2006) 1349–1361
  2. Bach et al., Investigation of Resolution Effects Using a Specialized Diffusion Tensor Phantom, Magnetic Resonance in Medicine 71:1108–1116 (2014)
  3. Kim et al., Effects of MR Parameter Changes on the Quantification of Diffusion Anisotropy and Apparent Diffusion Coefficient in Diffusion Tensor Imaging: Evaluation Using a Diffusional Anisotropic Phantom, Korean J Radiol 16(2) (2015) 297-303
  4. Kłodowski and Krzyżak, Innovative anisotropic phantoms for calibration of diffusion tensor imaging sequences, Magnetic Resonance Imaging 34 (2016) 404–409
  5. Komlosh et al., Anisotropic phantom to calibrate high-q diffusion MRI methods, Journal of Magnetic Resonance 275 (2017) 19–28
  6. Lemberskiy et al., Validation of surface‐to‐volume ratio measurements derived from oscillating gradient spin echo on a clinical scanner using anisotropic fiber phantoms, NMR in Biomedicine. 2017;30:e3708
  7. Vellmer et al., Anisotropic diffusion phantoms based on microcapillaries, Journal of Magnetic Resonance 279 (2017) 1–10
  8. Sakai et al., Longitudinal stability of astriction cotton as an anisotropic diffusion phantom, ISMRM 2016, #2032
  9. Sakai et al., An affordable phantom for ADC/FA; a device for multi-site studies, ISMRM 2017, #3465

DTIファントム検討タスクフォース

研究担当者:
京都府立大学 放射線画像診断治療学 酒井 晃二, 山田 惠
京都府立大学付属病院 放射線科 中川 稔章, 池野 寛康
順天堂大学医学部 放射線診断学講座 村田 渉, 堀 正明, 青木 茂樹
京都大学 再生医科学研究所 中井 隆介

連絡先:酒井 晃二
sakai3@koto.kpu-m.ac.jp