公益社団法人 日本医学放射線学会

若手医師・学生の皆様へ

放射線科医になるということ

Subspecialties in Radiology

Diagnostic Radiology

画像診断
 CT・MRIや胸部単純写真・超音波などの医療画像を診断します。CTの分野では多列CTという全身を十数秒で撮像してしまう装置が開発されています。MRではSENSE法というコイルを複数利用して同時にたくさんの体内からの情報を得る仕組みが考えられています。これらの装置の進歩により、近年では診断に用いる画像数が急速に増大しており、従来のフィルム診断からモニタ診断へと移行しつつあります。もはや外来の合間に画像診断を行うことは不可能で、全身の画像診断の知識が必要になってきています。放射線科医は多くは全身の画像診断トレーニングを受けて、General Radiologistとして活躍しています。優秀な画像診断専門医は全国のどの病院でも必要とされており、求人募集が絶えません。

画像診断医の声(某総合病院放射線科医長)

 院内では毎日画像診断のカンファレンスがどこかで開かれています。今日は消化器外科・明日は呼吸器内科といった具合です。画像診断のない治療は現在の医療ではあり得ませんので、診療科毎・臓器毎などのカンファレンスに大忙しです。カンファレンスでは一人の患者さんの画像やデータを元に複数の医師が意見を出し合います。その中でも客観的データである画像診断の分野は重要視されており、私の診断に沿ってカンファが進むことも多くあります。我々の画像診断は病理と似ていると言われますが、現場では扱いが異なっており、生きている患者さんのダイナミックな変化をとらえることのできる画像診断は、臨床に直結した診断方法として、次の一手を考える重要な手段になっています。放射線科のような中央部門のしっかりした病院は非常に良い病院であることが多いのです。研修先の病院を探す際には参考にしてください。

PET&Nuclear Medicine

PETと核医学
 最近マスコミなどで話題にのぼるFDG-PETは皆さんご存じのことと思われます。平成16年の保険適応を契機に、日本全国にたくさんのPETセンターが建設されつつあります。現在では国内に150ヶ所を超えるまでになっています。従来のCTやMRIといった形態的診断を中心とする検査ではなく、癌細胞のブドウ糖代謝という機能的診断方法として注目されています。もともと核医学の世界では形態変化が出現する前の段階で、機能変化を早期もしくは鋭敏にとらえようと試みられてきました。非侵襲的に体内の臓器で今起きている現象を 捉えることのできる核医学検査は常に画像診断の発展を支えています。

PETセンター長の声(某画像診断センター長)

 当院ではまだ県内に珍しいFDG-PETの依頼検査がたくさんあります。他の病院から依頼された検査が日常業務の半数程度を占めています。患者さんは数cc のFDGを投与した後、2時間テレビなどを見てくつろいで頂いた後に、20~40分検査台の上で寝ていてもらうだけで、検査が終了します。検査が楽なのに全身の検査ができたと、患者さんには喜んで頂いています。また、 当院ではドックにもFDG-PETを利用しています。
 もちろんCTやMRI装置も導入していますので、地域の開業医の先生方にも画像診断センターを利用して頂いております。クリニックに高価な装置を導入する必要がなく、検査した画像に専門医による読影結果やアドバイスがつくことから、大変喜ばれています。
 画像診断センターでは女性の医師が多く、子供や家庭を持つ先生にも働いて頂ける環境が整っています。

Radiation Oncology

放射線治療
 乳房温存療法や食道癌の治療など、今や放射線治療の話を聞かない分野はありません。切らずに治すというイメージよりも現在では術前のステージングに応じた集学的治療の一つに放射線治療は確固たる地位を築いています。定位照射という病気の部分だけに治療線量の放射線を当てる技術が開発され、正常組織のダメージが少なくて済むさらなる低侵襲化へ向かっています。また、陽子線や重粒子線による治療も盛んに研究されており、ターゲットを絞った治療ができるようになりつつあります。これからの癌治療には放射線治療はなくてはならないものです。きちんとした放射線治療のできる専門家の育成が急務になっています。

放射線治療医の声(某大学病院放射線治療科講師)

 大学病院と言うこともあり、1日50人程度の患者さんの治療を行っています。治療の合間には外来も行っており、大変忙しい毎日です。放射線治療が必要と判断された患者さんには放射線治療科を受診して頂くことになっており、適切な治療計画を行い、これに基づき治療を行っていきます。最近では原発巣やステージングに応じた治療を行うようになってきており、以前より放射線治療が行われる患者さんが増えてきています。化学療法や温熱療法との併用などの研究成果が得られており、これら治療法との併用で、大変良好な治療成績が得られるようになりました。乳房や食道・直腸などの形態的・機能的温存療法は、放射線治療を中心とした集学的治療が行われるようになったからこそ、可能になったものです。癌の治療という面では外科医の数に対して、圧倒的に放射線科医の人手不足が憂慮されます。外科医と対等に渡り合える治療方法ですので、是非とも放射線治療を目指す先生が増えてくれることを望みます。

Interventional Radiology

IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)

 画像診断の技術を応用した低侵襲な治療方法。IVRは抗癌剤の動注療法や血管拡張術などの「血管内治療」とCTガイド下生検・経皮的ドレナージ術などの「血管外治療」に分けられます。血管内治療ではカテーテルとガイドワイヤを駆使して1mm以下の細い血管まで到達することも可能です。血管外治療では手術ではアプローチが難しい領域にまで、画像をガイドとして用いることにより、数mm単位の正確さで到達し、診断・治療が行えます。
 侵襲は小さく治療効果の大きい「てこの原理」のようなIVR のテクニックは十分な指導・訓練が必要です。放射線科ではIVRに伴う被ばくの知識も含め、しっかりとしたトレーニングが受けられます。患者のQOLを考えた治療を行うには、IVR技術の習得は必須なものです。

IVR医の声(某総合病院放射線科医長)

 午前中は外来・午後はIVR 、夕方以降は読影と毎日休む暇がありません。しかし、当院の規則では夜間当直と土日の出勤(当番制) はありませんので、実はプライベートも充実しています(笑)。入院ベットは2床のみで、基本的には他科入院の患者さんを治療することが多いです。専門グループに分かれることの多い大学病院と異なり、全分野のIVRを担当していますので、1年間に経験できる症例数がかなりの数になります。また、読影もしていますので、院内(外来も含め)の患者全体を把握することができ、他科からの相談にもスムーズに応えられます。画像から依頼科の先生方にIVRを電話やレポートの形式でアドバイスすることもあります。IVRは手技としては大変有意義なものなのですが、他科の先生にはあまり知られていないことも多いため、こちらからIVRではこんなこともできますけれど…と、宣伝することもあります。当直はないのですが、交通外傷などでは夜間にTAE に呼び出されることはあります。緊急時の大切な戦力ですので、病院からも優遇されています。

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