公益社団法人 日本医学放射線学会

若手医師・学生の皆様へ

先輩医師からのメッセージ

放射線診断医より

 画像診断は多くの疾患の診療に必要不可欠です。放射線科医は丁寧に画像所見を拾い上げ鑑別疾患を挙げていきますが、それだけでなく臨床所見、検体検査結果など全ての情報を統括して、何が最も考えられるかを考察します。読影結果についてはレポートに記載するだけでなく、例えば脳腫瘍ではカンファランスで治療方針、術式、病理診断などについて脳神経外科医、病理医と共に討論します。放射線科医による画像の“読み”は重要な役割を担っており、自分の読影結果がこれらの決定に直結するため責任とやり甲斐を感じます。診断専門医による行き届いた指導により、ジェネラルな知識はもちろん神経放射線のようなサブスペシャリティを高めることも可能で、成長を早くに実感できると思います。放射線科ではライフステージの変化や個人の希望・能力に応じた柔軟で多様な働き方の選択が可能で、働きやすい環境が整っています。“正しい治療は正しい診断から”。そのために一人でも多くの放射線科医を目指す先生が増えることを望みます。

某大学病院講師、卒後16年目、神経放射線担当


 2年間の初期臨床研修を終え、放射線科に入局してから早くも16年が経とうとしています。この間、画像機器は革新的に進化し、放射線科医になりたての頃は想像もできなかったような画像を毎日目の当たりにしています。私は診断専門医としてCT、MRIの読影業務を行なっていますが、それに加え、核医学専門医としてPETやSPECT画像の診断業務、認知症疾患を対象とした脳核医学領域の研究を主に行なっています。形態診断が主体のCT、MRIと異なり、核医学はヒトの機能を視覚化できる、とても面白い分野ですが、さらに近年では、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドやタウなど病理レベルの異常までも視覚化できるようになり、時代は分子イメージングへ突入しています。これらの革新的な進歩は、新しい治療にも直結し、患者さんの診療に大きなインパクトを与えています。そして、こうした急速な発展の中で、放射線科専門医の需要はますます高くなっています。General radiologistとして広範な領域をカバーするのもよし、特定の部位をマニアックに攻めるのもよし、いずれにしても診療にとって欠かせない存在です。最先端医療のフロントラインに立って、共にアクティブな仕事をしましょう!

某大学医学部講師、卒後18年目、核医学担当

IVR専門医より

 高度専門分化する現在医療において、横断的に画像診断を行い、それらの情報に基づいてIVRを担当する放射線科医は必要不可欠な存在です。私は血管IVRの中でも大動脈瘤や大動脈解離へのステントグラフト留置術、また閉塞性動脈硬化症のステント留置術や透析シャント狭窄のPTAを多く施行しています。院内の血管外科や循環器内科、皮膚科、形成外科や開業医の先生方と密に連携をとって、多くの患者さんをご紹介いただき、日々診療を行っています。瘤破裂の不安が取れ、喜ばれる患者さんや、間欠性跛行が消失して趣味のゴルフやハイキングに興じられる患者さんに接するたびに大きな喜びとやり甲斐を感じます。また急性下肢動脈閉塞や大動脈瘤破裂などの緊急疾患におけるIVRの有用性もすでに数多く報告されており、高度な技術を持ったIVR医を求める声はますます高くなる一方です。その一方でライフステージの変化に応じた柔軟で多様な働き方の選択が可能で、エキサイティングなIVR医の生活もできる一方で、子育て世代には画像診断で医療に貢献できるといった労働環境が整っています。一人でも多くの有能な若手医師が放射線科医を目指すことを切に望みます。

某大学病院講師、卒後16年目、血管IVR担当

放射線治療専門医より

 私は現在、専攻後9年目の放射線治療医師で、地域の中核病院に勤務しています。
 私が放射線治療を選んだのは、患者さんの苦痛が少なく、がん治療が行えるという点、また放射線治療は全身のさまざまながんに適応となるという点に魅力を感じたからです。化学療法との併用や、術前照射、術後照射、単独照射と、治療方法はさまざまですが、いずれにせよ、放射線治療を行うことで予後の改善が期待出来ます。放射線治療は、手術療法、薬物療法、免疫療法と共にがん治療を行う上で欠かせない治療方法です。日本人の2人に1人が罹患するがんに対して、外科医、内科医の先生達と協力して治療にあたる放射線科治療医に非常にやり甲斐を感じています。また、がん性疼痛に対して痛みを取り除く目的で行う緩和照射もありますが、患者さんから、「痛みがなくなったよ。ありがとう。」と感謝の言葉を頂くことも多いです。放射線治療を選択して良かったと思う瞬間でもあります。
 放射線科医としての主な仕事は、治療計画の作成、治療中の患者さんの診察、照射がきちんと行われているかの管理です。放射線治療が必要と判断された患者さんには放射線治療科を受診して頂き、私達は原発巣やステージングに応じた適切な治療計画を作成し、これに基づき放射線治療を行っていきます。通常の外照射に加えて、定位放射線治療や強度変調放射線治療(IMRT)といった高精度放射線治療も行っています。
 放射線治療の適応疾患は幅広く、そして奥深く、大変面白い分野だと思います。少しでも興味を持たれた先生は、是非、放射線科の扉を叩いてみて下さい。

卒後11年目 放射線治療担当