公益社団法人 日本医学放射線学会

若手医師・学生の皆様へ

画像診断について

画像診断医の院内での役割

 放射線診断科は他の診療科の画像診断を受け持ちます。限られた臓器や領域を担当する科とは異なり、単なる一つの診療科というより病院の中央部門と言えます。現在はEvidence-based Medicine(EBM)が求められ、客観性が高く低侵襲である画像診断はより重要性を増し現在の医療に不可欠です。

日常業務内容

 日常業務内容は単純X線写真、CT、MRI、血管撮影など多様です。検査依頼を受け、患者の病態や主治医の要求などを把握し、検査適応や内容を判断します。以前は現像したフィルムを読影していましたが、現在はパソコンのモニターでの診断が主流です。サーバーに保管した画像データをネットワークを通じて受信、表示させます。立体表示や動画表示をさせたり、フィルムでの観察では不可能な多様で詳細な観察が可能です。そして、その検査から診断できることのすべてを画像診断レポートに記載します。依頼科の検査目的以外の臓器の異常、たとえば偶発的な癌を見つけることは日常茶飯事です。限られた領域のみを扱う診療科ではなく、画像診断に特化し、全身を診断する画像診断医にしかできないことです。レポート作成に加え各診療科とのカンファランスも重要であり、画像診断医の意見で患者の治療方針が変わることもしばしばです。
 また、遠隔画像診断により子育てなどの状況に合わせた在宅勤務、地域医療も可能です。

日本での画像診断の現状

 医療上最も有用な発明の一つであるCTは日本に全世界の約1/3あり、増加する検査件数は医療費高騰、被爆の原因として問題となっています。しかし、日本に多数あるCT機器の2/3は画像診断医不在で稼働しており、画像診断医による診断も4割以下と質的担保なしに大多数の検査が行われている状態です。それに対し国では保険制度で画像診断管理加算を増やすなど、病院全体の医療水準のみならず、病院経営の面からも画像診断医の重要性、需要は増加しています。